抄録
肝硬変に併発した原発性肝癌8例に対し,TAE施行前後で上部消化管内視鏡検査を施行した.8例中4例に計6回のTAE施行後,胃または十二指腸の潰瘍性病変を認めた.このうち2例に計3回のTAE施行後に胃前庭部全体にわたる発赤・びらんの炎症性所見を認めた.また,1例に2回のTAE施行後に胃前庭部の潰瘍を認めた.胃潰瘍を形成した症例の剖検胃では,病変部周囲に粘膜下層の広範な線維化を認め,粘膜下層に高度の炎症が存在したことが示唆された.十二指腸病変は1例で認められ,上腸間膜動脈よりTAEを施行した症例であった.なお,以上の8例は全例が食道または胃静脈瘤の合併例であるが,TAE施行前後で静脈瘤の形態・性状に著変を認めなかった.