日本消化器内視鏡学会雑誌
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分娩直後に再発をみた良性反復性肝内胆汁うっ滞症の1例
天津 孝竹田 喜信福本 健治多田 秀樹三好 博文築山 順一板橋 司黎 維明松本 章夫大柴 三郎
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1984 年 26 巻 11 号 p. 1996-2000_1

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抄録
分娩直後に黄疸の再発をみた良性反復性肝内胆汁うっ滞症(Benign recurrent intrahepatic cholestasis以下BRIC)の1例を報告する.症例は25歳女性.過去に4度の黄疸の既往あり.第1子出産直後に5回目の黄疸を発現し入院となった.腹腔鏡検査では肝は表面平滑,辺縁鋭で紋理が強調され緑褐色を呈していた.組織学的には小葉中心性の毛細胆管内胆栓を顕著に認め,小円形細胞浸潤や間質の線維化はみられなかった.電顕像では毛細胆管の内腔が著明に拡張し内部に胆汁が充満しており,microvilliの数の減少がみられた.肝細胞内の変化は少なく胆汁色素は存在しなかった.生化学的にはγ一GTPが病初期に軽度の上昇を認めたが,以後正常値をとり続けビリルビンやAl-Pと解離を示した.本疾患の病因は不明とされているが,分娩も誘因となることが示唆された.
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