抄録
内視鏡的大腸ポリープ切除術後の切除断端からの出血に対し,浅木らが開発した内視鏡直視下の純エタノール局注止血法を用いた.2例では後出血を予防する目的で残存茎部断端に純エタノールを局注した.ポリープ切除術後の滲出性出血8例,拍動性出血1例の計9例の出血部位に対して内視鏡直視下に純エタノールを局注し,全例止血に成功した.滲出性出血の1例で局注止血後10日目と14日目に再出血がみられたが,再度の純エタノール局注により完全に止血し,輸血や開腹術を回避することができた.本法は操作が比較的簡便であり,内視鏡的に出血部位を同定することができれば,直視下に純エタノールを出血血管の周囲に的確に局注することにより充分な止血効果を期待することができ,内視鏡的大腸ポリープ切除術に伴った出血に対する非観血的止血法として,安全かつ有用な方法のひとつと考えられた.