抄録
色素内視鏡検査(主としてコントラスト法)施行下に,胃底腺粘膜小区を,細かい小区が密集したF0型,中等大小区で緊満したF1型,中等大小区でも平坦なF2型,小型平坦なF3型の4型に分類し,胃内分布様式,慢性胃炎との関連について検討した. 各小区型の生検組織所見で,胃底腺萎縮,腺窩上皮過形成,腸上皮化生,細胞浸潤,リンパ口胞などの胃炎性変化はF0型には少なく,F1型,F2型,F3型の順に強くみられた.小区型の胃内分布から,胃底腺粘膜の腺の萎縮も含めた胃炎性変化は小彎側ならびに腺境界近傍に強く,中心部にあたる胃体中部大彎側で軽度であった.また胃底腺粘膜は腺境界の上昇に伴い,幽門腺粘膜とほぼ平行して萎縮性変化が進行してゆくと考えられた. 胃小区,少くとも胃底腺小区は,その形態ならびに生検組織所見を考慮すれば,mechanical accomodationとして生じ,その後の胃炎性変化により修飾されると推論できた.