日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
胃内圧と胃局所血流に関する研究―萎縮性胃炎との関連性を含あて―
倉 禎二
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 26 巻 3 号 p. 353-369

詳細
抄録

 胃に限局性病変のない122例を対象とし,胃内圧はテレメーター法により,胃血流量は133Xeおよび水素クリアランス法により,内視鏡直視下に測定した。テレメーター法により大気圧Ocm H2Oを基準とした絶対値で胃内圧を測定し得たため,残留胃内圧も正確に把握できた。その平均値は8.6cm H2O(n=30)で,加齢に従いやや減少する傾向を認めた.最大胃内圧の平均値は約25cm H2Oであり,内視鏡検査時の至適胃内圧は15~20cm H2Oであった.この至適胃内圧下に測定した胃体下部小彎側の血流量の平均は133Xeクリアランス法63.3ml/min/100g(n=38),水素クリアランス法65.0ml/min/100g(n=30)で,両者は近似していた.同部の血流量は加齢に伴い減少し,また胃内圧上昇によっても減少した.これらの成績と萎縮性胃炎との関連性を検討すると,萎縮性胃炎と残留胃内圧との間に軽い負の相関がみられ,萎縮性胃炎と胃体下部小彎側の血流との間に強い負の相関が認められた.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
次の記事
feedback
Top