日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による胃癌深達度診断―固有筋層の超音波断層像を中心に―
山科 明夫板垣 茂文金子 正幸松田 徹西城 義郎中島 俊雄上野 恒太郎石川 誠
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1984 年 26 巻 4 号 p. 559-565

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抄録

 超音波内視鏡による胃癌の深達度診断の可能性を検討する目的で,診断の確定した早期胃癌4例,進行胃癌11例の計15例を対象として検査を施行した。超音波内視鏡の機種は,オリンパス・アロカ社製超音波内視鏡3号機を用い,脱気水を胃内に注入して走査を行なった.切除胃癌症例の切除胃は,水槽内に入れて超音波走査を施行し,体腔内走査との比較を行なった.また,胃壁及び腫瘍の深達度の超音波断層像を検討するため,切除胃の病理組織標本と超音波断層像とを対比した.その結果,1)胃壁の5層構造の描出が可能であり,固有筋層は低エコー層として認められた.2)進行胃癌は,固有筋層の破壊・断裂像が有力な診断根拠とされる場合が多いが,浸潤様式により,破壊が明瞭でなく,深達度診断判定が困難な症例が一部にみられた.3)Borrmann4型癌では,全例に5層構造の破壊された肥厚した胃壁が明瞭に描出された.

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