日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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内視鏡的膵管造影法からみた慢性膵炎の臨床的・病理学的特徴に関する研究
播磨 一雄
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1984 年 26 巻 8 号 p. 1229-1245

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抄録

 慢性膵炎は,ERPの普及とともに今日の慢性膵炎の臨床診断基準案をみるにいたったが,著者は,教室例の慢性膵炎例163例を対象に,膵管像所見の理解という立場から,病理学的,臨床的に検討し,アルコール性膵炎(以下ア性)の膵管像の特徴について以下のような結論をえた.本症の膵管像所見は,膵全体にほぼ均一な病変からなるD-I型と,不均一な,不連続性病変からなるD-II型と,限局性病変からなるL型に分類できるが,ア性の特徴像は,D-II型,LH(A)型にみとめられた.すなわち,ア性D型の成立過程は,均一なD型病変(D-I型)においても,異時的,多発的,不連続性病変からなる壊死性間質性膵炎の進行像をみとめた.また,ア性L型例は,非ア性例に比較すると,限局性病変の広汎化とともに,病変部の導管の相対的閉塞傾向をみとめた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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