日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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ラット水浸拘束潰瘍の拡大内視鏡観察と粘膜血流の測定
塚田 英昭小林 裕子西田 修マリオ ロドリゲス酒井 正彦内野 治人三宅 健夫
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1984 年 26 巻 8 号 p. 1262-1266_1

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抄録
 ラット水浸拘束潰瘍発生初期像を微細観察する目的で,胃ろうラットに拡大内視鏡を挿入し,同時に水素ガスクリアランス法を用い,内視鏡下に胃粘膜血流測定を行なった.ラット非病変部胃粘膜の微細観察では,ヒトとは異なり,粘膜表面の形態は観察さ.れず,粘膜内集合静脈の規則的な配列が観察された.また,水浸拘束負荷後約30分よりすでに胃底腺領域を中心に集合静脈の怒張と負荷前にはほとんど観察されない静脈網の出現が認められ,かなり早期より粘膜微小循環の障害が示唆された.また拘束開始約1時間頃より胃体部粘膜表面に白苔を伴う浅い陥凹が認められ,組織学的には,粘膜表層の微細な壊死と考えられた.また同時測定した粘膜血流も早期より急激な低ドを示し,内視鏡所見と相関した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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