日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道カンジダ症の7例の検討
鈴木 安名内海 真佐藤 仁志三好 幸宣山崎 裕之岡村 毅与志上田 則行並木 正義
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1984 年 26 巻 8 号 p. 1294-1298_1

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抄録
 1979年6月から1983年12月までの期間に7例の食道カンジダ症を経験した.基礎疾患の内訳は,糖尿病・肝疾患・胃潰瘍・慢性気管支炎・オスラー病およびアレルギー性肉芽腫症であった.食道の内視鏡所見としては,粘膜から容易にはがれない白色ないしは黄白色の隆起した白苔を認め,これが本症の特徴的な所見であった.重症例では白苔は癒合し,厚い偽膜状を呈し,発赤やびらんを伴っていた.白苔の直接塗沫標本(グラム染色)の所見は本症診断上有用であった.一方生検組織診の結果はfalse negativeである場合もあった. ナイスタチンを投与した患者は,全例1週間以内に自覚症状の改善がみられ,3~4週間以内に内視鏡所見の改善が認められた.悪性腫瘍・慢性消耗性疾患でステロイドや抗生物質による治療を受けている患者に対しては,自覚症状の有無にかかわらず積極的に内鏡検査を行うことが本症を早期に診断するうえで重要である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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