日本消化器内視鏡学会雑誌
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肝表面の観察における腹腔鏡所見と超音波像の対比
西村 公一
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1984 年 26 巻 9 号 p. 1503-1511

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抄録

 無侵襲性である超音波断層法によるび慢性肝疾患診断の正確さについて,腹腔鏡による肝表面像と対比しながら検討した.まず超音波検査により得られる肝表面の性状を,そのエコー像の変化から5段階(pattemI ~V)に分類した.腹腔鏡検査で平滑な肝表面と判定された症例の大部分は細い直線状エコー像(patternI)を示した.肝表面区域化例では不連続線状エコー像(patternII)を中心とするが,patternI からIII にわたり特定のpatternで表現できない例があった.結節状の肝表面を呈する症例では,一般に巾広い線状エコー像(patternIII)を示し,結節に特有の所見の表現はみられなかったが,有腹水時には結節を忠実に表現する二段差破線状エコー像(patternIV)が認められた.また稀に結節直径が5mmを起える症例では,無腹水時においてもpatternIV が,また直径が10mmを越える粗大結節例ではうねりの大きい波状エコー像(patternV)が認められた.以上の肝表面における超音波像のpattemはび慢性肝疾患,特に肝硬変症の診断における一応の基準になるものと考えられる.

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