抄録
ERCP施行時の心電図変化をみるために,ERCPと同時にホルター心電図検査を33例に行なった. ERCP中に不整脈は,心室性期外収縮6例,上室性期外収縮1例,発作性頻拍症1例の計8例(24.2%)みられた. 1.0mm以上のST低下は17例(51.5%)にみられ,特に2.0mm以上の著明なST低下は6例(18%)にみられた.最大のST低下をきたす時期は造影中が7例と最も多く,次いで内視鏡挿入直後5例,内視鏡抜去直後3例が多かった.ST低下の危険性は高齢者に高かったが,検査時間の長さとの間には因果関係は認められなかった. 高齢者,心疾患を合併した患者にERCPを行なう際には,十分注意を払って,万全の準備をした上で行なう必要がある.