日本消化器内視鏡学会雑誌
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手術例と非手術例の対比による膵嚢胞症例の臨床的検討
内海 真山崎 裕之高井 幸裕池 薫相馬 光宏原田 一道岡村 毅与志上田 則行並木 正義鈴木 安名柴田 好武田 章三芦田 知史峯本 博正高砂子 憲嗣
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1985 年 27 巻 11 号 p. 2299-2305

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抄録
 膵嚢胞とくに膵仮性嚢胞の自然経過が,最近の画像診断の進歩で明らかになるにつれて,本症の治療方針も変わりつつある.今回われわれは,本症の内科的治療の可能性を探るため,過去8年間に当科および関連施設で経験した膵嚢胞症例21例につき,手術例と非手術例の比較検討を行った.その結果,手術を施行しなくとも良好な経過を示す症例が,自然消失2例を含む約半数の9例にみられた.これらの症例の吟味から,膵嚢胞と診断した場合,1~2カ月の経過観察を行い,この時点で,悪性病変が否定でき,症状がなく,嚢胞の大きさが4cm未満で,縮小傾向があり,合併症のないものは,手術を施行せず経過を観察してもよいと考えられた.また,ERP上主膵管と交通の認められる嚢胞は,縮小する可能性が大であることも示唆され,治療方針を決定する上で参考になる所見と思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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