日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
内視鏡的に診断し得たaortoduodenal fistulaの1例
田井中 憲三小野寺 秀記繁田 正子伊谷 賢次粉川 隆文瀬戸 治山本 実柴田 糺福本 圭志近藤 元治
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 27 巻 2 号 p. 244-249_1

詳細
抄録
 近年,腹部大動脈への人工血管置換手術後の合併症であるaortoenteric fistula(以下AEF)が注目されて来ている.われわれはAEFの一つであるaortoduodenal fistula(以下ADF)を内視鏡的に診断し得た.症例は72歳男性で,腹部大動脈に人工血管置換手術をうけた既応があり,下血を主訴に入院した.内視鏡検査にて,十二指腸第III 部に周堤を伴う潰瘍を認め,経過とともに,同部に拍動と新鮮出血を見るようになり,ADFと診断した.手術では,大動脈周囲は炎症性に一塊となり,人工血管中枢側吻合部と十二指腸第III 部とに交通を認めた.upper GI series,aortogram,腹部CTなどは診断に直接役立たず,病変の存在を示唆するにとどまった.診断のためにはこの疾患を認識することがまず大切で,腹部大動脈に人工血管置換手術をうけた患者で消化管出血が持続する場合は,ADFを疑って早期に内視鏡的に,食道から十二指腸第IV部までを観察することが重要であると痛感したので報告する.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top