日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
食道癌術前合併療法の効果に関する内視鏡的研究
谷口 徹志
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 27 巻 3 号 p. 303-315

詳細
抄録
 食道癌術前合併療法の内視鏡的効果判定に関して,放射線を主体とした術前合併療法後切除された胸部食道癌173例を対象に,1)効果判定基準の設定,2)適切な効果判定時期における効果判定と組織学的効果の検討,3)合併療法前における効果予測について検討した.内視鏡的効果判定基準は著効,有効,改善,無効の4段階に分類した.この基準を用いた判定時期は合併療法後の内視鏡像の推移より,手術直前2~3日が適切であり,この効果判定と組織学的効果は有意の相関がみられた.効果予測は主病巣の内視鏡像より,立ち上がり形態を4型に,癌露出程度をルゴール散布法を応用して4型に,口側への伸び方を3型に分類し検討した.項目別各型のEf分布より多変量解析を用いて組織学的効果に対する寄与指数を算出した.各項目の指数の合計をその症例の効果予測指数とすると,最近の術前合併療法であるTDF50以上他剤併用症例ではEf1であった症例は-0.180±0.303,Ef2は-0.010±0.291,Ef3は0.183±0.142で示され,以後の症例もこの指数と良く相関した.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
次の記事
feedback
Top