日本消化器内視鏡学会雑誌
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EST:合併症とその対策
松本 伸二吉本 英夫池田 靖洋田中 雅夫伊藤 英明
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1985 年 27 巻 5 号 p. 677-681

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抄録
 われわれは,1975年1月にlong-tipped sphincterotomeを試作し,以後ESTに際し第一選択として使用してきた.今回はその成績をもとに,ESTの合併症とその対策につき検討した.胆管結石症368例(うち傍乳頭憩室を伴うもの120例)を検討の対象とし,ESTは365例(99.2%)に成功.結石除去率は342例(93.7%)であった.合併症は,出血9例・AOSC9例・急性膵炎7例・バスケット嵌頓2例・穿孔0.死亡例は2例(0.5%)であった.これら各合併症の検討により以下の結論を得た.(1)long-tipped sphincterotomeの使用により,憩室例にもESTは安全に行なえる.(2)切開時出血の有無に拘らず,出血ま後日起こることがあり,術後の屎潜血チェックは重要である.(3)EST後の結石嵌頓によるAOSCはエンドトキシンショックに移行しやすく,早急に内視鏡的緊急胆管減圧法を行なうべきである.(4)"precut"は高アミラーゼ血症・膵炎発生の頻度が高く,極力避けるべき手法である.
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