抄録
過去13年9カ月間に,15歳未満の小児103例に対して,計142回の上部消化管内視鏡検査を施行した.9歳以下は原則として全身麻酔で施行し,機種について当初は成人用の側視式ファイバースコープGTF-A,JF-B2を使用していたが,昭和50年からはGIF-P2,GIF-P3の如き細径直視式ファイバースコープが多用されるようになった.性別では男55例,女48例,年齢別では0~2歳24例,3~5歳17例,6~8歳15例,9~11歳20例,12~14歳27例となっている.疾患別にみると異物例が20例と最も多く,次いで十二指腸潰瘍14例,食道静脈瘤11例等となっている.疾患と年齢の関係をみると,異物例は8歳以下が19例とほとんどを占め,十二指腸潰瘍は9歳以上が12例と年長児に多かった.以上の如く,小児上部消化管内視鏡検査は,小児上部消化管疾患の診断と治療に,非常に有用であると思われる.