抄録
新しい設計システムによって開発された直視型上部消化管ファイバースコープ(オリンパス,GIF-Q10)を用いて,1,380例に内視鏡検査を行ない,観察能,操作性その他の点について検討した.本機種は,イメージガイドの改良,接眼倍率の増加,広画角,アップアングルの増加(210°)等により,観察操作性,記録性が向上しており,観察盲点はなく,接眼倍率の増加により,観察時の見えが大きいため,細部の観察が容易であった.さらに,鉗子口を操作部下端に配して,汚物噴出による顔面汚染を防止しているほか,カメラ(SC-16)に,左手にて操作できるように,シャッターレリーズが組みこまれており,操作性でも向上がみられる.一方,肝炎ビールス等の感染予防の面からは,本機種は,操作部・ユニバーサルコード部まで含めた全体の水浸に耐えられるよう防水されており,ヒビテングリコネート,ステリハイド等に対する耐性も十分であった.以上より,本機種は,臨床的にも,従来の機種に比し一段と完成された上部消化管用ファイバースコープと評価しえた.