抄録
症例は66歳男性.血性下痢便を主訴に第一回目入院.その際臨床的には最も潰瘍性大腸炎が疑われたが,注腸レントゲンにて一部skip lesionを呈していた.再発作入院時には注腸レントゲンで定型的な潰瘍性大腸炎の像を呈し,総一,的に初回入院時も潰瘍性大腸炎と考えられた.潰瘍性大腸炎は形態的には直腸を必ずおかし炎症は連続性であることが特徴であるが,初回発作時に炎症が連続性であっても各部で治癒のスピードが異なれば区域性にみえる可能性がある.また,正常にみえる部位からの生検でも発作の程度が強くなければ炎症の既往がとらえられないことがあると思われる. 初診時にskip様病変分布を示し,診断の難かしかった大腸炎が,二回目の発作時に定型的な潰瘍性大腸炎像を呈したので診断のついた症例を経験した.