抄録
非A・非B型肝炎の肝表面像には,B型とやや異なった形状を持った赤色紋理(RM)が存在するとの報告がある.これらの実態を明らかにする目的で,腹腔鏡検査で観察されるRMについて,発生部位からperiportal (pp) RM, centrilobular (cl) RM, multilobular (ml) RMに3分画し,さらに修飾因子として色調(hemorrhagic fleck-like, common redness, indistinct)と分布状況(dense, sparse, localized)を加味する亜分類法を作製し,検討した.その結果,急性肝炎では,B型,非A・非B型ともに,約10%のRM出現率を認めたが,これらRMの性状から,遷延または慢性化例に特有な成績は発見できなかった.ところが慢性肝炎では,B型はdense common reddish pp RMが基本型であるのに反して,非A・非B型ではsparse pp RMとlocalized hemorrhagic fleck-like ml RMの2型が存在し,それぞれ異なった形態学的特徴を示すことが推定された.