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小沢 洋, 中澤 三郎, 芳野 純治
1985 年 27 巻 8 号 p.
1523-1537
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
長径5mm以下の微小胃癌34病巣,長径6mmから10mmの小胃癌65病巣につき形態的に分類し病理学的および臨床的に検討した.形態的特徴により陥凹型では微小陥凹型,悪性びらん型,中間型,IIc型の4型に,隆起型では中心陥凹型,平滑隆起型,不整隆起型の3型に分類された.陥凹型微小・小胃癌では4型ともいずれの組織型も呈し,いかなる背景粘膜下にも認められた.陥凹型微小胃癌は微小陥凹型,悪性びらん型のみにみられ,全例とも深達度mであった.陥凹型小胃癌では悪性びらん型,中間型,IIc型を呈し,深達度sm以下の病巣もあった.隆起型微小・小胃癌は3型ともすべて管状腺癌で深達度mであり,背景粘膜には腸上皮化生,萎縮性胃炎が認められた.悪性びらん型および中間型には病巣周囲の隆起がみられ,その成分として粘膜層の深層での癌細胞の圧排や固有胃腺や腺窩上皮の増生が重要と考えられた.
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―膵癌の早期診断のために―
山雄 健次, 中澤 三郎, 内藤 靖夫
1985 年 27 巻 8 号 p.
1538-1553
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
膵腫瘍95例を対象として,それらのERCPまたは標本造影の膵管像を腫瘍の局在と膵管の形状の変化により正常膵管型,主膵管狭窄型,主膵管閉塞型,主膵管びまん拡張型,主膵管圧排偏位型,膵野異常型の6型に分類し,さらに主膵管狭窄型,主膵管閉塞型,膵野異常型を細分化した.膵管像の成り立ちを腫瘍の間質結合織や浸潤様式,腫瘍と主膵管との位置関係,嚢胞合併の有無,粘液産生能などとの関連性において検討したところ,分化型管状腺癌をはじめ多くの膵癌は硬性型で浸潤傾向が強く,膵管像は筆先状狭窄,筆尖状閉塞,膵野欠損を示し,島細胞腫,乳頭状腺癌,嚢胞腺癌などの髄様で膨張性発育傾向を有する腫瘍では圧排所見を中心とする圧排閉塞,圧排偏位,分枝圧排を示した.乳頭状腫瘍は膵管内増殖の傾向があり,膵管像でも狭窄部や閉塞部に増殖性変化を認めた.腫瘍性嚢胞では膵管との交通の有無により膵管像が異なり,交通の無いものは圧排所見が中心であり,交通のあるものでは膵野の造影剤の貯留と同部の透亮像が特徴的であり,膵管のびまん性拡張と透亮像を示す粘液産生腫瘍との関連が示唆された.一方,病理学的検討より,乳頭状腺癌は膵管上皮内を,管状腺癌は膵管周囲をscirrhousに進展することが明らかとなった.以上のことより,われわれの膵管像分類は組織型を推察することが可能であり,膵癌の膵内進展の診断にも有用であると考えられた. また,予後の期待できる2cm以下の小膵癌,粘液産生膵癌,mucinous cystic tumor,主膵管近傍の小腫瘍においても多くは主膵管に狭窄や閉塞などの明らかな変化を認めることから,ERCPのルーチン化によって早期に診断が可能であると考えられた.
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―腹腔鏡像及び生検組織像と肝内門脈エコー像の対比―
西村 公一
1985 年 27 巻 8 号 p.
1555-1561
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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簡便かつ無侵襲な超音波断層検査によるび漫性肝疾患の診断法のひとつとして,肝内門脈エコー像の変化に着目し,腹腔鏡所見及び肝生検組織所見と対比しながら検討した.門脈左枝横行部・臍部を描出し,門脈エコー像の変化を次の3群に分類した.即ち門脈壁及び内腔の明瞭な(-)群,門脈壁のボケ像はあるも内腔の比較的明瞭な(+)群,門脈壁のボケが強く内腔が潰れて不明瞭な(〓)群である. その結果慢性肝炎から肝硬変へと結節形成が完成されるに従って,(-)群から(+),(〓)群へと変化していく傾向がみられた.急性肝炎は病期の相違があったためか所見が一定しなかった.脂肪肝では(-)群は認められず,深部エコーの減弱が門脈描出不良に影響するものと思われた. 以上,肝内門脈エコーのボケ像は慢性肝疾患,特に肝硬変の診断に極めて重要な所見のひとつである事が証明された.
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― 接触型導光端子の内視鏡応用における基礎的・臨床的研究―
野見 山哲, 鈴木 荘太郎, 青木 純, 唐沢 博之, 長谷部 哲理, 椎名 泰文, 三浦 敏洋, 牧野 孝史, 原 雅文, 柴田 晴通, ...
1985 年 27 巻 8 号 p.
1562-1568_1
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
従来の石英導光ファイバーを用いた非接触照射による消化管レーザー内視鏡治療は,照射効果の不確実性により必ずしも満足いく成績は得られていない. 新しい材質(セラミックス)を用いた接触型導光端子の開発により接触照射が可能となり,従来の石英導光ファイバーに接続し内視鏡下照射への応用が可能となった.従来の非接触照射と対比して基礎的・臨床的検討をおこない,接触照射では非接触照射に比し,より照射部位への狙撃性が向上し,より低出力で十分な組織深達性が得られ,接触端子の破損がすくなく,臨床的にも有効な成績が得られた.
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―赤色紋理を中心とした検討―
島田 宜浩, 市田 隆文, 長谷部 千登美, 関谷 千尋, 渡辺 俊明, 市田 文弘, 平川 弘泰, 小松 真史, 山本 真由美, 為田 靱 ...
1985 年 27 巻 8 号 p.
1569-1579
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
非A・非B型肝炎の肝表面像には,B型とやや異なった形状を持った赤色紋理(RM)が存在するとの報告がある.これらの実態を明らかにする目的で,腹腔鏡検査で観察されるRMについて,発生部位からperiportal (pp) RM, centrilobular (cl) RM, multilobular (ml) RMに3分画し,さらに修飾因子として色調(hemorrhagic fleck-like, common redness, indistinct)と分布状況(dense, sparse, localized)を加味する亜分類法を作製し,検討した.その結果,急性肝炎では,B型,非A・非B型ともに,約10%のRM出現率を認めたが,これらRMの性状から,遷延または慢性化例に特有な成績は発見できなかった.ところが慢性肝炎では,B型はdense common reddish pp RMが基本型であるのに反して,非A・非B型ではsparse pp RMとlocalized hemorrhagic fleck-like ml RMの2型が存在し,それぞれ異なった形態学的特徴を示すことが推定された.
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―とくに幽門腺領域粘膜を中心に―
武知 桂史, 宮川 晴雄, 奥田 順一, 井田 和徳, 下川 邦泰
1985 年 27 巻 8 号 p.
1580-1589
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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胃十二指腸疾患143例の胃小区を色素内視鏡検査法を用いて胃前庭部の幽門腺領域粘膜を中心に検討した. 胃小区の型として,胃前庭部の幽門腺領域粘膜の小区をP
0型~P
3型の4型に,胃体部の胃底腺領域粘膜の小区をF
0型~F
3型の4型に,腺境界が上昇した胃の胃体部小彎側の偽幽門腺粘膜の小区をPb型に,それぞれ分類した. 幽門腺領域粘膜でP
0型がみられた場合,その粘膜には壁細胞が混在し,P
0型小区は中間帯が幽門側に発達した場合に観察された.粘膜の腺萎縮や腸上皮化生などの胃炎性変化にともない,P
0型ないしP
1型小区は,P
2型,P
3型小区に移行していた. 幽門腺領域粘膜の小区は,腺境界の上昇にともないP
0型,P
1型からP
2型,P
3型へ変化していたが,これに併行して胃体部の胃底腺領域粘膜の小区もF
0型からF
3型へ,すなわち萎縮型小区へ移行していた.
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三木 一正, 張 景明, 丹羽 寛文, 岡 博, 金子 栄蔵
1985 年 27 巻 8 号 p.
1590-1595
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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同一母集団(A群)の職域胃集検においてpanendoscope GIF-P2の単独上部消化管集検(624名)の成績と間接X線同時併用胃カメラ集検(746名)および1次間接X線(延8,706名)2次内視鏡精検(延1,285名)との成績とを対比するとともに,他の同一母集団(B群)における1次間接X線(延6,939名)2次panendoscope GIF-P2(583名)またはGIF-P3(528名)を用いた成績とを対比し,職域胃集検におけるpanendoscopeの使い方に検討を加え,以下の結論を得た.細径panendoscopeによる胃集検では,(1)球部病変を正確に診断できる.(2)間接X線同時併用胃カメラ集検と比し,治療を要する胃病変の発見頻度には差異を認めないが,胃潰瘍瘢痕の発見率で劣り,球部病変の発見率で優れている.(3)細径panendoscope単独上部消化管集検は1次間接X線2次内視鏡集検に比し,発見病変頻度が高い.(4)GIF-P2またはP3による上部消化管病変発見頻度は両者で差異を認めない.(5)撮影体位,前処置の差異よりも術者およびパラメディカルスタッフの熟練度が集検効率に影響を与える.
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吉田 俊一, 中島 正継, 藤本 荘太郎, 今岡 渉, 安田 健治朗, 小林 正夫, 趙 栄済, 西村 和彦, 向井 秀一, 清田 啓介, ...
1985 年 27 巻 8 号 p.
1596-1604
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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オリンパス光学製の試作の機械式砕石バスケットカテーテルを臨床応用し,総胆管結石に対する摘出効果について検討した.機械式砕石バスケットカテーテルは金属コイルシースと強化バスケットと操作部より構成され,把持した結石を強力な牽引圧によって破砕し,細片化して摘出可能な状態にするもので操作は簡便であり,結石破壊力は強力である.巨大結石や他の理由によって内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)後の通常の除去方法では摘出困難と判断された12例の総胆管結石症に対して本法を試み,11例に完全な結石の摘出除去に成功した.12例全例に何らの合併症も認めず,安全に施行しえた.これまで,除去困難な結石の摘出に,内視鏡的電気水圧法(EEL)や胆石溶解剤の灌流法が試みられてきたが,両者ともに欠点,問題点を有している.本法は,これらの方法の限界を克服し,ESTの胆管結石除去方法としての適応を拡大し有効性を向上させうる方法と考えられた.
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EFFECT OF CIMETIDINE ON THE TREATMENT OF ULCERS IN THE UPPER PORTION OF STOMACH.
中村 厚, 荒川 哲男, 平谷 定彦, 中村 肇, 佐藤 博之, 福田 隆, 樋口 和秀, 佐久間 裕之, 重本 達弘, 鎌田 悌輔, 小野 ...
1985 年 27 巻 8 号 p.
1605-1611_1
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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従来から,防御因子増強剤投与が第一義的であるといわれている高位胃潰瘍に対するcimetidine治療の意義とその病態における胃粘膜prostaglandins(PGs),および胃粘膜血流の態度について検討を加えた.その結果,従来からの抗潰瘍薬治療と比較すると,cimetidine治療例で累積治癒率の向上がみられた.高位胃潰瘍の病態分析では,酸分泌動態としての基礎酸分泌量,最高酸分泌量はともに低値を示した.一方,胃粘膜防御機構を統括的に支配しているといわれる胃粘膜PGE2量,PGI2量はともに低値を示し,特に胃体部において顕著であった.また,胃体部血流量は少ない傾向にあった.これらの成績から,高位胃潰瘍においては,酸分泌能の低下と同時に,粘膜防御能の低下が示唆されたが,それゆえ,本疾患のように抵抗性の減弱した胃粘膜では低酸といえども大きな攻撃因子になりうると考えられた.よって高位胃潰瘍の治療においてもcimetidineなどによる酸分泌抑制は,決して第二義的であってはならないと考えられた.
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荒井 博義, 田中 昌宏, 吉田 行雄, 酒井 秀朗, 木村 健, 阿久津 正之, 兼子 耕
1985 年 27 巻 8 号 p.
1612-1617
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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11年4カ月にわたり,粘膜内癌としてとどまった胃印環細胞癌症例を報告する.患者は54歳の男性で,1972年9月,上腹部痛にて他院を受診し,胃X線検査,内視鏡検査および生検組織診による胃角部小彎後壁のIIc型早期胃癌(印環細胞癌)と診断され,手術を勧められたが,これを拒否し放置していた.約11年後の1983年10月,患者は反復する上腹部痛を主訴に当院を受診した.胃X線検査および内視鏡検査では,胃角部小彎後壁に癒合傾向・先細り・断裂像を呈する粘膜ヒダ集中と不整形の浅い陥凹性病変を認め,IIc型早期胃癌と診断した.生検組織診では,11年前の標本と同様の印環細胞癌を認め,1984年1月,胃亜全摘除術が施行された.切除標本の検索では,癌病巣は15×10mmで粘膜固有層表層部に限局しており,粘膜深層部には正常腺管構造が残存し,更にその深部は,U1-IVの潰瘍瘢痕であった.一般に,陥凹型早期胃癌の発育は緩慢であるとされるが,11年以上もの長期にわたり早期胃癌の状態で経過した症例の報告は極めて稀である.
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福井 寛也, 広岡 大司, 湯浅 肇, 板倉 恵子, 山本 博, 岡村 良邦, 西原 英樹, 上江 洲朝弘, 仲本 剛
1985 年 27 巻 8 号 p.
1619-1626_1
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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特発性内胆汁瘻のなかでも非常に稀な胆嚢胃瘻の1症例を報告する.患者は43歳男性,主訴は下痢及び右季肋部痛・入院時診断は胆嚢結石頸部嵌頓及び敗血症であった.全身状態の改善後胆摘術の予定であったが,やむをえない事情により手術を延期したために胆嚢胃瘻を形成するに至った.患者は入院中であったため,腹部超音波検査により本症の形成過程を経時的に観察しえた.胆嚢及び胆嚢周囲のエコー像は非常に興味ある変化を示した.胃透視では前庭部大彎に圧迫像を認め胃内視鏡検査では胃透視の圧迫像に一致して前庭部大彎に隆起性病変を認め,その性状は粘膜下腫瘍の内視鏡像に一致していた.隆起性病変の頂上には白苔を付着した陥凹を認め同部位よりの造影に成功し,瘻孔開口部を証明するとともに本症と診断した.
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岩尾 忠, 赤司 隆裕, 山内 一明, 宮園 一博, 村山 俊二, 佐々木 英, 阿部 正秀, 天野 育造, 豊永 純, 国崎 忠彦, 谷川 ...
1985 年 27 巻 8 号 p.
1627-1635
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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われわれは,稀とされるCronkhite-Canada症候群の経過中に,その臨床的特徴である消化管ポリポーシスと外胚葉系症状が,ステロイド投与により緩解したと思われた症例を経験したので報告する. 本症例は,下痢を主訴として来院したが,入院時,脱毛,色素沈着,爪甲異常を認め,更に胃,十二指腸及び結腸に多発性のポリープを認めた.このポリープは,組織学的にhyperplasticないしinflammatoryな所見を有しており,Cronkhite-Canada症候群と診断した.治療として当初,中心静脈栄養及び整腸剤,制酸剤で約1カ月臨床経過を観察したが,上記症候の改善は得られなかった.その後,副腎皮質ステロイドを投与したところ,下痢,脱毛,色素沈着,爪甲異常の改善を得た.ポリポーシスに関しても,胃においては著明に減少し,結腸ではほとんどのポリープの消失をみた.本症例は,中心静脈栄養に加えてステロイド投与が著効を示したと考えられるので,若干の文献的考察を加えた.
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神谷 順一, 二村 雄次, 早川 直和, 塩野谷 恵彦, 榊原 正典
1985 年 27 巻 8 号 p.
1636-1641
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は黄疸を主訴とした68歳の女性である.PTCで肝門部胆管に巨大な腫瘍を認め,左右の肝内胆管にPTCDを施行した. PTCD瘻孔を拡大した後,PTCSをおこなった.出血を伴う黄色の腫瘍を胆管内に認め,生検でclear cell typeの肝細胞癌と診断された.胆道鏡を利用することにより,安全かつ容易に内瘻化できた. 剖検で,左尾状葉の50×50mmの肝癌が尾状葉枝を介して肝外胆管に増殖していたことが判明した.
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十川 康弘, 大山 欣昭, 瀬戸屋 健三, 藤澤 秀樹, 大和田 耕一, 菅野 勇, 奥井 勝二
1985 年 27 巻 8 号 p.
1643-1648_1
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は36歳の女性で上腹部痛を主訴に来院,胆石症の診断で胆嚢摘出術を施行したが術後も愁訴が改善せず,再度上部消化管造影を行い十二指腸水平脚口側端に隆起性病変を発見された.十二指腸ファイバースコープによる観察では頂部に浅い潰瘍があるほかは粘膜変化のない,亜有茎性の巨大な粘膜下腫瘍がみられた.管内発育型の粘膜下腫瘍と診断し組織診断と治療の目的で内視鏡的高周波スネアポリペクトミーを施行した.切除は2回に分け1回の切除に30分以上かけ組織の過熱を予防した.腫瘍組織の一部は残存したが術後出血はなく愁訴は消失した.病理組織学的には良性の平滑筋腫であった.現在慎重に経過観察中である.
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押谷 伸英, 北野 厚生, 小畠 昭重, 吉安 克仁郎, 日置 正人, 橋村 秀親, 松本 誉之, 大川 清孝, 桑島 士郎, 小林 絢三
1985 年 27 巻 8 号 p.
1649-1655_1
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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潰瘍性大腸炎(UC)と鑑別に難渋したクローン病の2症例についての臨床的検討を行なった.症例1は28歳男性で,頻回の下痢便を主訴とし,入院時注腸像における結腸の連続性病変,および内視鏡検査におけるS状結腸のびまん性炎症像よりUCと診断した.しかし,その後内視鏡的経過観察において回腸末端部および結腸に縦走潰瘍を認め,注腸像にてもunevenな病変を示すようになりクローン病と診断した.症例2は21歳男性で,粘血下痢便を主訴とし,入院時注腸像における左側大腸の連続性病変,および内視鏡検査におけるS状結腸のびまん性炎症像よりUCと診断した.その後肛門部にfistulaが形成され,内視鏡的経過観察においても結腸に縦走潰瘍およびcobblestone像を認めクローン病と診断した.比較的長期間追求し得たIBDの経過の中でUCとの鑑別が困難であったクローン病のdiffuse type2症例について報告した.
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―抗生物質に対するallergyの検討も含めて―
千葉 満郎, 大高 道郎, 太田 弘昌, 吉田 司, 五十嵐 潔, 長崎 明男, 荒川 弘道, 正宗 研, 井上 修一
1985 年 27 巻 8 号 p.
1656-1662_1
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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オリンパス光学K.Kにおいて開発されたOES内視鏡写真撮影システムはOESファイバースコープ,光源装置CLV-10,データ写し込み装置DS,内視鏡カメラSC16-10よりなるが,これらを臨床の場で試用する機会を得た.CLV-10は光量の増加,露光精度の向上とともに非常灯も装備されている.DSは患者データを入力・記憶・表示しフィルムに写し込むことができ,またSC16-10のファインダー内に日時,経過時間,撮影部位等の英数字データを表示し内視鏡写真に写し込むこともできる.SC16-10は軽量化が計られ,拡大率の異なる3種類のマウントアダプターが用意され大画面で撮影することが可能である.OESシステムを用いることにより検査中の操作が容易になり,観察ならびに読影上見やすい画像が得られる上,内視鏡写真にデータ記録としての客観性を導入することが可能となり,特に部位同定の指標に乏しい食道や下部消化管検査における有用性を確認した.
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清水 誠治, 多田 正大, 川本 一祚, 趙 栄済, 渡辺 能行, 川井 啓市
1985 年 27 巻 8 号 p.
1663-1669
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
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オリンパス光学K.Kにおいて開発されたOES内視鏡写真撮影システムはOESファイバースコープ,光源装置CLV-10,データ写し込み装置DS,内視鏡カメラSC16-10よりなるが,これらを臨床の場で試用する機会を得た.CLV-10は光量の増加,露光精度の向上とともに非常灯も装備されている.DSは患者データを入力・記憶・表示しフィルムに写し込むことができ,またSC16-10のファインダー内に日時,経過時間,撮影部位等の英数字データを表示し内視鏡写真に写し込むこともできる.SC16-10は軽量化が計られ,拡大率の異なる3種類のマウントアダプターが用意され大画面で撮影することが可能である.OESシステムを用いることにより検査中の操作が容易になり,観察ならびに読影上見やすい画像が得られる上,内視鏡写真にデータ記録としての客観性を導入することが可能となり,特に部位同定の指標に乏しい食道や下部消化管検査における有用性を確認した.
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近間 敏治, 宮坂 史路, 目黒 高志, 西沢 正明, 坂井 洋一, 堀田 彰一, 塚越 洋元, 八百坂 透, 須賀 俊博, 村島 義男, ...
1985 年 27 巻 8 号 p.
1671-1677
発行日: 1985/08/20
公開日: 2011/05/09
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当科では,昭和57年より,総胆管結石症に対し,内視鏡的乳頭切開術(以下EPT)による結石の非観血的治療を行なってきたが,結石が大きな場合,EPTのみでは,結石が乳頭部切開口より排出されず,それらの症例に対しては,手術的治療がなされていた.今回,オリンパス光学の協力により,試作処置用十二指腸ファイバースコープ(以下TJF-10)と,試作砕石用バスケットカテーテル(以下砕石バスケット)を使用する機会を得,14症例に内視鏡的総胆管砕石術(以下本法)を試み,11例に成功したのでその成績について報告する.砕石バスケットは・われわれの使用経験からは,若干の改良の余地があるものの,総胆管結石の非観血的治療の手段として非常に有用と思われた.
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