抄録
胃十二指腸疾患143例の胃小区を色素内視鏡検査法を用いて胃前庭部の幽門腺領域粘膜を中心に検討した. 胃小区の型として,胃前庭部の幽門腺領域粘膜の小区をP0型~P3型の4型に,胃体部の胃底腺領域粘膜の小区をF0型~F3型の4型に,腺境界が上昇した胃の胃体部小彎側の偽幽門腺粘膜の小区をPb型に,それぞれ分類した. 幽門腺領域粘膜でP0型がみられた場合,その粘膜には壁細胞が混在し,P0型小区は中間帯が幽門側に発達した場合に観察された.粘膜の腺萎縮や腸上皮化生などの胃炎性変化にともない,P0型ないしP1型小区は,P2型,P3型小区に移行していた. 幽門腺領域粘膜の小区は,腺境界の上昇にともないP0型,P1型からP2型,P3型へ変化していたが,これに併行して胃体部の胃底腺領域粘膜の小区もF0型からF3型へ,すなわち萎縮型小区へ移行していた.