日本消化器内視鏡学会雑誌
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潰瘍性大腸炎と鑑別の困難であったdiffuse typeのクローン病
押谷 伸英北野 厚生小畠 昭重吉安 克仁郎日置 正人橋村 秀親松本 誉之大川 清孝桑島 士郎小林 絢三
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1985 年 27 巻 8 号 p. 1649-1655_1

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抄録
 潰瘍性大腸炎(UC)と鑑別に難渋したクローン病の2症例についての臨床的検討を行なった.症例1は28歳男性で,頻回の下痢便を主訴とし,入院時注腸像における結腸の連続性病変,および内視鏡検査におけるS状結腸のびまん性炎症像よりUCと診断した.しかし,その後内視鏡的経過観察において回腸末端部および結腸に縦走潰瘍を認め,注腸像にてもunevenな病変を示すようになりクローン病と診断した.症例2は21歳男性で,粘血下痢便を主訴とし,入院時注腸像における左側大腸の連続性病変,および内視鏡検査におけるS状結腸のびまん性炎症像よりUCと診断した.その後肛門部にfistulaが形成され,内視鏡的経過観察においても結腸に縦走潰瘍およびcobblestone像を認めクローン病と診断した.比較的長期間追求し得たIBDの経過の中でUCとの鑑別が困難であったクローン病のdiffuse type2症例について報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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