2021 年 33 巻 4 号 p. 833-838
対話型デザインは一種の最適解探索問題であり,効率的な探索のためには初期値設定が重要である.この初期値設定問題に対して,任意オノマトペを利用可能なオノマトペ・シソーラス・マップによって解決する手法を我々は先行研究において提案した.先行研究の実験では,毛筆フォントデザインシステムを事例として提案手法の評価を行い,デザインパラメータ空間において,最適値近傍に初期値設定できることを示した.この実験評価では,デザインパラメータ空間内の最適値と初期値間のユークリッド距離を用いて他手法との比較評価を行ったが,このユークリッド距離と画像処理効果の変化量の関係は線形ではなく,デザインパラメータ空間内の位置によって緩急が発生する.そのため,このユークリッド距離による評価のみでは提案手法の有効性が十分に示されていない可能性がある.そこで本研究では,最適値と初期値によって作成できる両者の画像処理効果について,主観評価によって類似度を評価した.先行研究と同様に他手法と比較評価したところ,提案手法が最適値によって作成した画像処理効果と最も類似しており,統計的に他手法と有意な差があることが示された.