抄録
十二指腸球部の巨大有茎性ポリープの1例を経験し,内視鏡的ポリペクトミーを施行した. 症例は49歳,女性.生来健康で特に自覚症状は無かったが,胃集検にて異常を指摘され,精査目的にて来院.上部消化管X線検査及び内視鏡検査にて,十二指腸球部から胃前庭部にかけて,表面平滑で白色調の巨大有茎性ポリープを認め,内視鏡的ポリペクトミーにより切除回収した.切除標本は大きさ70×22×15mmで,病理組織学的にはリンパ管腫であった.I緒言 十二指腸リンパ管腫は,十二指腸良性腫瘍の中でも非常に稀な疾患であり,欧米では1982年までに11例,本邦では1975年までの集計で4例報告されているにすぎない. 今回われわれは,胃集検にて発見され,内視鏡的ポリペクトミーにて切除回収し得た巨大十二指腸リンパ管腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.