日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による上部消化管粘膜下腫瘍の検討(第1報)
野口 隆義相部 剛秋山 哲司衣川 皇博浅上 文雄天野 秀雄播磨 一雄有山 重美富士 匡伊藤 忠彦西村 滋生吉田 智治河原 清博平田 牧三竹本 忠良
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1986 年 28 巻 1 号 p. 69-76_1

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抄録
われわれは,X線および内視鏡検査で診断した胃・食道の粘膜下腫瘍9症例に超音波内視鏡検査を施行し,粘膜下腫瘍の診断における超音波内視鏡の有用性を検討した.その結果,粘膜下腫瘍は8症例において,境界鮮明な低エコーレベルの腫瘍像として描出され,残る1例は無エコーの嚢胞像として描出された.発育様式の判定についてみると,消化管内発育と診断されたものが3例,消化管外発育と診断されたものが4例,壁内にとどまっていると診断されたものが1例であった。また,粘膜下腫瘍(嚢胞を除く)は消化管壁の第4層(固有筋層)より発生していることが確認され,平滑筋由来の腫瘍と考えられた.ただ,胃嚢胞と考えられた1例は胃壁の第3層(粘膜下層)より発生し,胃内外の両方への発育が確認された.すなわち,粘膜下腫瘍の確定診断,発育様式の判定,組織像の推定に超音波内視鏡の有用性が確認された.なお,手術を施行された症例は2症例で,ともに平滑筋腫であったが,腫瘍内部エコー像による良・悪性の鑑別については,今後さらに症例を増やし,臨床的検討を重ねる必要があると考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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