日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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食道腺過形成とリンパ球主体の炎症細胞浸潤に起因する食道ポリープ様病変の1症例
森田 雅範門脇 徹中澤 慶彦田村 智坂本 芳也宮尾 昌宏岡崎 和一山本 泰朗山本 泰猛園部 宏
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1986 年 28 巻 10 号 p. 2335-2338_1

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抄録
 症例は,57歳の男性.心窩部鈍痛を主訴とし来院,上部消化管検査にて下部食道右後壁に8×5mmの細長い隆起性病変を認め,上部消化管内視鏡検査にて門歯列より40cmの部位に山田III型隆起性病変を認めた.ルゴール染色にてポリープ様病変部には不染帯を認めず,粘膜下腫瘍と推定された.病理組織学的診断と治療を兼ねて,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.病理組織学的には,軽度の扁平上皮層粘膜の肥厚と,粘膜下層にリンパ球を主体とする炎症性細胞浸潤を伴った食道腺過形成より成る病変を認めた.現在まで,本病変の様な病理組織所見を示す食道の隆起性病変の報告はなく,極めて稀な症例と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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