日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道乳頭腫の2例
―超音波内視鏡検査および電子スコープ検査による検討を加えて―
西村 滋生吉田 智治伊藤 忠彦苅田 幹夫安武 隆二郎大谷 達夫多田 正弘相部 剛宮崎 誠司河原 清博平田 牧三沖田 極岡崎 幸紀竹本 忠良
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1986 年 28 巻 10 号 p. 2327-2334_1

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抄録
 食道乳頭腫は,稀な疾患とされているが,その2例を経験した.症例1は,67歳男性で,腹部膨満感を主訴として来院した.上部消化管X線検査では,中部食道に山田III型の隆起性病変がみられ,内視鏡検査では,上門歯列より35cmの食道右壁に7×5mm大の乳頭状隆起性病変を認めた.病巣の深さ,広がり及び形態を知る上で超音波内視鏡,電子スコープ検査は有用であった.ポリペクトミーを行ったが,大きさは7×2×8mmで扁平上皮乳頭腫であった.症例2は,71歳女性で,心窩部不快感を主訴として来院した.上部消化管X線検査では,食道下部に山田III型で縦長の隆起性病変がみられ,内視鏡検査では,EC junction直上右壁に15×5mm大の隆起性病変を認め,生検で扁平上皮乳頭腫と診断された.心疾患の既往があることなどよりレーザー照射を行ったが,ほぼ完全に消失した.今回,本邦における著者らの集計を含めその臨床像,成因,食道癌との関連性について検討したので報告したい.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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