日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的に治療しえた急性胃軸捻症の1例
若林 敏弘川田 裕一勝部 隆男小豆畑 博
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1986 年 28 巻 10 号 p. 2348-2352

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抄録
 急性胃軸捻症はまれな疾患で,外科的治療の適応とされる.最近,本症の1例を経験し,内視鏡的に治癒せしめえた.患者は28歳の男性で,主訴は嘔気と腹痛であった.上部消化管X線検査で腸間膜軸性の急性胃軸捻症と診断した.直視型内視鏡を挿入したところ,内視鏡は逆α型に進み,前庭部に閉塞がみられた.体位を腹臥位に変換することにより,閉塞は解除された.内視鏡先端を十二指腸まで進めた後,抜去するように引くと捻転は整復された.本症の内視鏡による治療は本邦第1例と思われる.捻転による絞扼が軽度な症例には,噴門部の通過性が保たれていれば,内視鏡的な治療を試みるべきと考える.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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