抄録
ヒト正常肝被膜直下の血管系を,被膜剥離後化学的組織消化をおこない,走査電子顕微鏡で観察した.Glisson鞘に包まれて被膜下に出現する門脈末梢枝と,それに伴走する肝動脈末梢枝が小葉間の結合組織とともに観察され,実質は薄い結合組織線維膜に覆われていた.小葉の中心部では複数の類洞が肝実質から被膜下へ露出したのち直下の中心静脈に集合して注いでいた. 本研究によって明らかにされた,このような肝被膜直下の微細形態は拡大腹腔鏡で観察される肝小葉紋理の理解に役立つ.脂肪肝の肝紋理を対照として,その考察を行った.