日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的ポリペクトミーにて切除した回腸リンパ管腫の1例
中村 正樹菊地 直人星野 清志大野 義一朗並木 真生
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1986 年 28 巻 11 号 p. 2616-2620_1

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抄録
 症例は67歳男性.6年前に胃癌,1年前にS状結腸癌の手術を受けている.S状結腸癌術後の経過観察の目的で,下部消化管内視鏡検査を実施したところ,回盲弁より10cmほど口側の回腸に,亜有茎性隆起性病変があった.ポリープの表面は周辺正常粘膜と同じ色調で発赤,びらん,bridging fold等はともなわなかった.内視鏡的ポリペクトミーを実施したところ大きさは10×6×6mmで,病理学的検索にて,海綿状リンパ管腫と診断された.リンパ管腫は非上皮性良性腫瘍で,小腸に発生するのは稀である.本疾患が空・回腸に発生した場合,その解剖学的位置から術前診断は困難であり,これまでの報告例はほとんど腸閉塞,腹痛,消化管出血等の症状出現後に検査をうけ,単に空・回腸腫瘍と診断されたか,剖検時に発見されたものであり,われわれが調べえた範囲では,内視鏡的ポリペクトミーを実施された空・回腸リンパ管腫は本例が初めての報告と考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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