日本消化器内視鏡学会雑誌
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体部胃炎の病態に関する研究
―胃蠕動,胃排出,愁訴との関連について―
竜田 正晴飯石 浩康春日井 博志奥田 茂
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1986 年 28 巻 3 号 p. 508-515

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抄録

 胃・十二指腸病変を有さない患者31名に,内視鏡的Congored-methylene blue testを施行し体部胃炎の拡がりを観察した.体部胃炎と胃運動および愁訴との関連を検討するとともに,Domperidoneの胃蠕動および胃排出に及ぼす効果についても検討した.胃蠕動運動は丹羽らの方法で,内視鏡的に観察し,胃排出は原沢らの方法に従い,acetaminophen法により測定した. 体部胃炎の高度な症例では,胃蠕動運動および胃排出に著明な低下がみとめられたが,Domperidoneの投与により,胃蠕動および胃排出はともに促進がみとめられた.体部胃炎の高度なものでは,いずれも何らかの愁訴を訴えていたが,心窩部痛を訴えるものは少なく,腹部膨満感等を訴えるものが多く,これらの愁訴には食後の胃運動の遅延が深く関連しているものと考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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