日本消化器内視鏡学会雑誌
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Panendoscopeを用いての胃内視鏡検査
― 観察診断と写真診断―
加藤 修服部 和彦
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1986 年 28 巻 3 号 p. 550-553_1

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抄録

 1979年1月より1984年12月までに当院にて施行したPanendoscopy6,412件中,発見もしくは確認した胃癌は201例207病巣で,うち早期胃癌(疑診も含む)は81例84病巣であった.これらの胃癌中,観察診断にて良性の胃疾患と考え,生検にて癌と確認されたものは10例10病巣(早期胃癌9例9病巣)を数えたが,うち4例4病巣は撮影したフィルムを見直しても悪性を疑うことが出来ず,1次スクリーニングのPanendoscopyとは生検をも含めた検査として成立していることを改めて感じた.一方,明らかに見逃された早期胃癌が2例2病巣あったが,両者とも撮影されたフィルムの見直しで病変の存在を指摘し得た.即ち,Panendoscopeは胃のみの内視鏡検査機種としても十分満足し得るものであると考えられた.然し,Panendoscopyは,GTFなどと異なり,あくまで観察による病変の発見を旨とするべきで,後に撮影されたフィルムを見直せばよいという安易な姿勢で臨むべきでないことは言を待たないところである.なお,著者らはGTFなどの側視鏡の有効性を全く否定し去るものではないが,絶対的必要性は感ぜず,特にPanendoscopyにて胃癌が発見された場合の第2次検査としては,癌の量的診断目的のため,X線検査がこれにあたるべきと考えている.最後に,当院においては側視鏡を用いての胃内視鏡検査を知らない世代が台頭しつつあることも事実である.

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