1986 年 28 巻 3 号 p. 562-568
過去8年間に当教室において1,200例の患者に対し内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)を施行した.このうち膵管癒合不全(Pancreas Divisum)と診断した症例は13例で,その頻度は1.1%であった.全例に反復する上腹部痛がみられたが,臨床的に膵炎を合併した症例は6例で,いずれもアルコール負荷を認めた.一方,膵炎非合併例は7例で,2例のみにアルコール負荷を認めたにすぎなかった.自験例においては,膵管癒合不全そのものでは膵炎の合併例はなく,Santorini管からのドレナージ不全状態という先天的因子に,アルコール負荷などの後天的因子の加わることが膵炎発生の要因として重要なものと考えられた.