日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃潰瘍による胃・結腸瘻の1例
外山 久太郎安達 献野登 誠三富 弘之坂口 哲章大高 英雄小泉 博義関野 晴夫赤池 信鈴木 紳一郎
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1986 年 28 巻 3 号 p. 576-581_1

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抄録

 症例は40歳の男性.胃角の巨大潰瘍に対してcimetidine,maaloxついでpirenzepineを投与し,潰瘍の著明な縮少,改善をみたが,第86病日頃より頑固な下痢が出現するようになった.腹痛,嘔吐,血便などなし.胃潰瘍はその後更に縮少してきたが,第145病日の胃内視鏡検査で瘻孔形成が示唆され,その後に行われた経内視鏡的カテーテル瘻孔造影検査で,胃・結腸瘻が確認された.胃潰瘍による胃・結腸瘻は極めて稀で,本例は筆者らが文献的に調査した限りでは,本邦における最初の報告例である.また本例は,瘻孔形成の過程を内視鏡的に経過観察しえた点でも貴重な症例である.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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