日本消化器内視鏡学会雑誌
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Gastritis cystica polyposaを母地として発生したと思われる残胃吻合部IIc型早期胃癌の1例
岡本 勝司二村 雄次早川 直和長谷川 洋神谷 順一前田 正司山瀬 博史土江 健嗣岸本 秀雄塩野 谷恵彦川村 陽一
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1986 年 28 巻 3 号 p. 582-587

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抄録

 Gastritis cystica polyposaを母地として発生したと思われる残胃吻合部IIc型早期胃癌の1例を報告する.症例は26年前に胃潰瘍のため胃切除術(ビルロートII法)を受けている49歳男性で,上腹部痛を主訴として来院し,胃内視鏡検査により胃空腸吻合部に白苔を伴った浅い潰瘍性病変を発見され生検により腺癌と診断された.残胃癌の診断にて残胃全摘,膵尾,脾合併切除術を施行した.切除標本にて病変は吻合口に沿って拡がったIIc(15×79mm)であり,吻合口近傍のfoldは腫大しIIc面で途絶していた.組織学的には吻合部胃粘膜には上皮の過形成と嚢胞状に拡張した腺管の粘膜下層への浸入が認められ,Gastritis cystica polyposaの像を呈していた.中分化型腺癌がGCPの表層粘膜と一部粘膜下層に認められ,GCPから発生したIIcが表層拡大したと考えられた.リンパ節転移は認められず,患者は術後14カ月を経た現在,再発の徴候無く健在である.

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