日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
マイクロ波による内視鏡的十二指腸総胆管内瘻化(EDCF)により結石排出をみた総胆管結石症の1例
中澤 慶彦岩村 伸一田村 智坂本 芳也松本 京子森田 雅範宮尾 昌宏岡崎 和一山本 泰朗山本 泰猛
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 28 巻 3 号 p. 589-594_1

詳細
抄録

 内視鏡的マイクロ波治療は,現在高周波,レーザー等と共に,Endoscopic Surgeryの分野でその地位を確立しつつある.われわれは,今回,総胆管結石症患者の治療にマイクロ波を使った内視鏡的十二指腸総胆管内瘻化(EDCF)を施行した.症例は75歳女性で,総胆管内に2個の結石(20×16mm,19×6mm)を認める.内視鏡はOlympus JF-1Tを使用し,凝固部位は十二指腸乳頭部の口側隆起部とし,発振条件は20ワット×20秒で計44回凝固した.凝固時,出血等の合併症なく血液生化学検査も著変を認めなかった.2回目のEDCF1週後のERCPにて,結石の自然排出を確認した.本症例の如く,EDCFは総胆管末端の拡張があれば,出血もほとんどなく急性膵炎の合併も少ない.従って,胆汁排泄に十分な大きさの人工的内瘻造設は,安全であり,しかも確実な減黄効果および症例によっては排石が期待できるものと考えられた.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top