Cronkhite-Canada症候群は比較的稀な疾患であり治療法も確立していない.今回,われわれの経験した2症例につき報告する. 症例1:48歳男性.症例2:53歳女性.いずれも消化管ポリポージス,脱毛,爪甲異常,皮膚色素沈着,低蛋白血症の5主徴の他に食欲不振,味覚異常を認めた.ポリープは胃と大腸に著明であり,組織的には腺管の嚢胞状拡張と間質の浮腫を認めた.症例1は半消化態栄養剤の投与により症状の改善およびポリープの減少を認めた.症例2にも半消化態栄養剤,ED-ACを投与したが低蛋白血症は進行し,完全静脈栄養とステロイド剤投与により症状は改善し,ポリープも著明に減少した.両症例について血清腫瘍マーカーを検索したところ,症例1ではCA19-9,tissue polypeptide antigen(TPA),immunosuppressive acidic protein(IAP)が入院時上昇しており経過とともに減少した.症例2では経過中にCEA,CA19-9,TPA,elastase1が上昇し,症状の改善とともに正常化した.