1986 年 28 巻 3 号 p. 621-627_1
Billroth II 法胃切除術後症例におけるERCPの成功率が低い最も大きな要因として,乳頭部までスコープを挿入できないことが上げられるが,一旦スコープを乳頭部まで挿入できれば造影自体はさほど困難ではない.しかし,胆管へのdeeper cannulationは必ずしも容易ではない.そこで,今回われわれは上咽頭癌の転移による中部胆管狭窄症例に,直視型,側視型ファイバースコープを併用し,ENBDの手技を応用してERBDに成功した症例を経験したので報告する.Billroth II 法胃切除術後症例のEPTは非常に難しいとされているので,われわれは無処置乳頭を介して留置チューブを挿入した後に,ポリペクトミー用スネアーをニードルナイフとして用いEPTを施行したところ,安全かつ容易に施行することができた.Billroth II法胃切除術後症例においても,スコープが乳頭部まで挿入できる場合には,このような方法を応用すれぼ,EPTやERBDが安全に施行できるのではないかと考えられる.