日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
内視鏡的に採取せる純粋膵液分析による胃膵相関の検討(第2報)
花房 英二原田 英雄越智 浩二松本 秀次三宅 啓文岡 浩郎木村 郁郎
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 28 巻 4 号 p. 692-699

詳細
抄録
 消化性潰瘍の病態生理に関する胃膵臓器相関を研究する目的で,十二指腸潰瘍,胃潰瘍,健常対照者について胃液分泌能と膵外分泌能を比較検討した.膵外分泌は,内視鏡的純粋膵液採取法を用いて,十二指腸内塩酸注入による内因性刺激に対する膵重炭酸塩分泌を検討し,併せて血中セクレチンの変動を検討した.胃酸分泌は,基礎分泌,テトラガストリン刺激後分泌ともに十二指腸潰瘍群において胃潰瘍群,健常対照者群より有意の高値を示した.膵重炭酸塩分泌は,空腹時膵管内貯溜膵液の重炭酸塩濃度,塩酸注入後の重炭酸塩分泌量ともに十二指腸潰瘍群において他の2群より有意の高値を示した.血中セクレチンは,刺激前濃度,刺激後最高濃度および2者の相対比ともに3群間に有意の差を認めなかった.十二指腸潰瘍においては胃酸分泌亢進に対応して内因性膵刺激に対しても膵重炭酸分泌は亢進しており,血中セクレチン反応に他の2群と差異が認められないことより,十二指腸潰瘍においてはセクレチンに対し膵外分泌細胞の感受性亢進があり,過酸に対し中和すべく充分な重炭酸分泌能があると考えられる.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top