日本消化器内視鏡学会雑誌
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Pancreas divisumの臨床的検討
―自験例を中心として―
末綱 純一松永 研一村上 和成首藤 龍介寺尾 英夫藤岡 利生糸賀 敬本田 昇司中村 憲章原 耕平
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1986 年 28 巻 4 号 p. 700-709

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抄録
 著者らが過去10年間に本学第2内科及び長崎大学第2内科で経験したERCP検査にて,良好な膵管像の得られたのは1,951例であった.うち疑診群9例を含む15例にPancreas divisumの症例を経験した.15例中副乳頭造影は7例に施行し背側膵造影率は3例,42%であり3例のPartial divisumを加え6例に背側膵管像が得られ,これを確診群とした.このうち5例83%に病変を認め,これは他家の報告に比し高頻度であった.腹側膵管は15例中14例に造影され病変は認められなかった. 年齢は35歳から73歳の平均51.2歳で男・女比は13:2と男性に多かった.飲酒歴の有・無が明確な10例につき確診率67%のアルコール群(以下,ア群)と確診率25%の非アルコール群(以下,非ア群)とに分けて臨床像・膵管像を検討した.主訴は膵炎様症状が主で両群間に差はないものの,膵機能面ではア群において機能異常発現率,膵酵素逸脱率,背側膵病変率が高い傾向にあると推測された. また,背側膵管に病変の認められた5例のうち4例はアルコール歴のある症例で全例膵管像に確診所見を有していた.うち3例は慢性背側膵炎例で,他1例は背側膵癌の症例であった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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