抄録
スコープの先端にテレビカメラとして固体撮像素子を組込んだTV-Endoscope(町田―東芝)が,今回わが国において初めて開発された.スコープ先端の対物レンズにより結ばれた像(光信号)はCCDにより電気信号に変換され,video processorを通じてテレビモニターに映像を送るシステムである.映像の記録は,VTRとスチール写真の二つの方法で行なわれる. 今回,この新しい試作品TV-Gastroscopeを上部消化管50症例に,そしてTV-Colonoscopeを下部消化管10症例に臨床使用を試みた.スコープの性能(挿入性,操作性,観察能,さらに生検狙撃能等)は従来のファイバースコープと変わるところはない.テレビ画像及びスチール写真は極めて良好で,優れた解像力であり,従来にない画質である.これら試作品は内視鏡のルーチンあるいは精密検査の使用に充分に耐えうるものと評価される.さらにTV内視鏡はエレクトロニクスの集積であり,今後画像処理,画像filing systemの開発が大いに有望であり,内視鏡の新しい分野の発展が期待できる.