日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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良性食道潰瘍の内視鏡的経過観察
―とくに難治食道潰瘍を中心として―
岩下 エリーザ裕子三浦 総一郎朝倉 均浜田 慶城吉田 リカルド吉田 武史米井 嘉一小尾 和洋森下 鉄夫土屋 雅春
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1986 年 28 巻 4 号 p. 738-747_1

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抄録
 過去14年間に内視鏡的に検討しえた良性食道潰瘍52例を対象とした.男性にやや多く,年齢は60歳代をピークとしていた.症状では胸やけが多くみられ,吐下血をきたした症例もあった.52例中6カ月以上潰瘍の持続した難治例18例の内視鏡所見では,潰瘍の発生部位はほぼ全例食道・胃粘膜接合部にかかっており,全例に食道裂孔ヘルニアを合併していた.組織学的にはdysplasiaを認めたものはあったが,最終的に癌化した症例はなかった.難治例18例中ほぼ全例(17例)に何らかの合併疾患を伴っており,進行性全身性硬化症・肝疾患・冠動脈疾患,糖尿病などが多く,そのほか気管支拡張症や気管支喘息なども注目された.このような症例の胃液検査では必ずしも過酸を示さず,胃液分泌抑制効果をもつ薬剤を投与しているに拘らず潰瘍の治癒率が良くないことから,合併症などに基づく微小循環障害や運動障害など食道粘膜防御機構低下も大きい役割をはたしているものと想像された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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