抄録
第2期梅毒において胃梅毒を認めた症例を経験したので報告した. 症例:33歳,男性.心窩部痛で某院を訪れ,胃X線検査を施行し悪性腫瘍が疑われて当院へ紹介された.胃X線検査では,前庭部の狭窄像と圧迫像で粗大顆粒状変化があり,内視鏡検査では,前庭部全域と胃角直上まで至る浅い不整形,易出血性の潰瘍と前庭部小彎と胃角部にやや深い潰瘍性病変がみられた.以上の所見より,IIc様進行癌ないしは悪性リンパ腫を疑った.繰り返し施行した生検で悪性像は陰性,かつTPHA反応強陽性,梅毒性乾癬を思わせる所見より胃梅毒を疑い,ペニシリン投与により,抗潰瘍剤で改善を認めなかった潰瘍性病変は著明に改善した.胃梅毒はまれな疾患である.しかし,近年,第2期梅毒に胃梅毒を伴った症例報告が散見される.したがって,特に胃前庭部に多彩な所見を伴う潰瘍で悪性像が陰性例では,皮診の有無の探索と同時に梅毒血清反応を施行すべきである.