日本消化器内視鏡学会雑誌
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特異な画像診断所見を示したMenetrier病の1例
三宅 周渡辺 博史佐々木 俊輔岩野 英二萩原 秀紀杉山 明川口 憲二安原 高士尾上 公昭河野 宏榎本 正満
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1986 年 28 巻 4 号 p. 795-801_1

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抄録
 最近の6年間に発症し,特異な画像診断所見を呈したMenetrier病の1例を経験したので報告する.患者は66歳女性で,腹満感,四肢の浮腫のために入院.昭和53年の胃透視では異常を認めず,10年頸部リンパ腺炎,54年好酸球増加症をみた.入院時検査所見では,血清総蛋白3.6g/dlと低下しており,131I-RIBA試験,125I-PVP試験より消化管からの蛋白漏出が証明された.胃液検査は低酸で,血中ガストリンの高値をみた.胃透視および内視鏡検査で,穹窿部から胃角部まで巨大皺襞をみとめた.胃生検組織では,腺窩上皮および粘膜固有層の肥厚をみた.電子顕微鏡写真では,粘膜上皮の剥離とそこより体液の漏出をみるが,tight junctionは正常であった.胃の超音波検査およびCTスキャンでは,胃の内腔に突出する巨大皺襞像を認めた.この患者に対して,シメチジンを800mg/日内服としたところ,血清総蛋白が5.7g/dlまで改善したので,同治療を続行中である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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