日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道静脈瘤硬化療法後血小板減少が増強した肝硬変の1症例
大高 道郎小松 眞史戸堀 文雄八木澤 仁島 仁石田 秀明荒川 弘道正宗 研
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1986 年 28 巻 7 号 p. 1562-1566_1

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抄録
 42歳の男性,アルコール性肝硬変による食道静脈瘤の症例に対し5%-ethanolamine oleateを用い内視鏡的硬化療法を施行した.食道静脈瘤は消失したが,硬化療法直後から急激な血小板減少の増強が認められたので,その機序について考察した. 免疫学的検査では抗血小板抗体,使用薬剤に対するLSTは陰性であった.また骨髄像も正常であった.腹部超音波検査で硬化療法後に脾腫の増大が認められ,腹部血管造影において食道静脈瘤への血行の遮断および脾静脈が蛇行,拡張している所見が認められた. 以上の事から本症例では,硬化療法により門脈系の側副血行路である食道静脈瘤への血行が遮断されたため脾静脈圧が上昇し,それによって脾機能亢進状態が助長され,血小板減少が増強したと推論した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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