日本消化器内視鏡学会雑誌
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高ガストリン血症を伴った自己免疫性慢性胃炎に合併した微小胃カルチノイドの1例
中西 徹坂田 泰昭
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1986 年 28 巻 7 号 p. 1567-1573_1

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抄録
 今回われわれは初診時に著明な高ガストリン血症と汎血球減少症を呈しgastrinomaや悪性貧血も疑われたが,最終的には自己免疫性(A型)胃炎に合併した微小胃カルチノイドであった稀な症例を経験したので報告した. 症例は35歳の女性で汎血球減少の精査のため当科を紹介された.入院後再生不良性貧血,悪性貧血は否定され,鉄欠乏性貧血が考慮され全消化管を精査した結果,胃内視鏡下生検で径5mmの微小胃カルチノイドを発見した.また1,900ρg/mlという著明な高ガストリン血症を認めたが,胃液は無酸でgastrinomaは否定され,抗胃壁細胞抗体が陽性であった事からガストリン高値の原因は自己免疫性胃炎による無酸と考えられた.A型胃炎,胃カルチノイド共に稀であるため,A型胃炎に合併した胃カルチノイド例は自験例を含め本邦で5例にすぎないが,文献的及び本例の組織的検討で両者の関連が示唆されており,この点につき考察を加えた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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