日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的超音波断層法(EUS)を用いた内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)の治療効果判定
安田 健治朗清田 啓介向井 秀一西村 和彦趙 栄済小林 正夫吉田 俊一今岡 渉藤本 荘太郎中島 正継
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1986 年 28 巻 8 号 p. 1788-1795

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抄録

 内視鏡的超音波断層法(EUS)を用いて内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)の治療効果判定を試み,EUSの臨床的有用性を検討した.対象は17例の食道・胃静脈瘤症例で,EISを施行した前後でEUS観察を行ない,その経過観察によって静脈瘤の変化を解析,.検討した. この結果,EUSによって食道・胃静脈瘤は低エコー管腔像として描出され,それらの粘膜層,粘膜下層及び壁外の各部位の局在診断も容易に可能であった.EIS施行後の静脈瘤の変化をEUSで追求すると,術後約2週間は食道壁の肥厚と静脈瘤管腔内に高エコーを示す塞栓(血栓)像が観察され,経過とともにこの血栓は器質化を示す均一な低エコー像を示した.EIS施行後3カ月を越えるものでは均一な低エコー塞栓像の一部に,さらに低エコーの管腔像が観察される例が認められたが,EISを追加することによりこの所見が再開通像であることが確認された.なお,EIS施行後6カ月以上経過したものでは,全症例でこの再開通変化が認められた. 以上,EUSはEISの臨床的治療効果判定法として高く評価できる検査法であるばかりか,EISの効果持続期間や,EISによる食道壁の変化を評価するうえでも有用な検査法と考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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