日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による十二指腸潰瘍の検討(第1報)
中田 和孝相部 剛野口 隆義大谷 達夫伊藤 忠彦藤村 寛大村 良介秋山 哲司衣川 皇博天野 秀雄富士 匡岡崎 幸紀竹本 忠良
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1986 年 28 巻 8 号 p. 1853-1858_1

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抄録

 われわれは,超音波内視鏡によって描出される十二指腸壁の層構造を,組織学的に解明した.すなわち,超音波内視鏡で描出される十二指腸壁の基本層構造は5層構造で,その組織学的構築は,すでにわれわれが報告した胃壁の5層構造とほぼ同一である.ただし,十二指腸には,Brunner腺が,粘膜下層および粘膜固有層に存在し,これが第3層の高エコーを形成していた.すなわち,第3層は,組織学的には粘膜下層に粘膜の一部を加えたものであった.実際臨床例においても,十二指腸壁は5層構造として描出されたが,まれに,第2層および第4層内に,それぞれ1条の高エコーが描出され,全体として9層構造を示すことがあった.第2層内の1条の高エコーは,粘膜固有層のBrunner腺と考えられ,その下方で第3層の高エコーとの間に描出される狭い低エコーは,粘膜筋板と考えた.第4層内の1条の高エコーは,胃壁と同様に,筋層間の結合織および組織間の境界エコーと考えた.なお,十二指腸潰瘍臨床例において,基本5層構造の変化を読影することにより,潰瘍の深さの診断が可能であった.

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