日本消化器内視鏡学会雑誌
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ミニスライディングチューブの試作,有用性について
―一人操作法によるtotal colonoscopy―
岡本 平次佐竹 儀治藤田 力也
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1986 年 28 巻 8 号 p. 1859-1863

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抄録

 牧石らの考案したスライディングチューブはS状結腸たわみ防止に有効なことはよく知られている.著者はそのスライディングチューブを再評価し,一人操作法の大腸内視鏡検査に使用可能なミニスライディングチューブ(岡本式)(以下ミニチューブと略)を試作した.有効長は21cm及び26cm,内径15mm,外径18.5mmであり,市販のST-C3(オリンパス社製)に比し有効長がかなり短かく,細径であるのが特徴である.最近1年6カ月間で1,818回使用し,1,810回,99.6%にS状結腸たわみ防止効果があった.またミニチューブ導入後は盲腸挿入率97.6%,平均到達時間5分40秒(±2分11秒)でtotal colonoscopyの成績向上が得られた.ミニチューブは単に短かく,細径にしたにすぎないが,S状結腸たわみ防止の役割を充分に果しただけでなくabdominal manipulation無効例や憩室症例でも有用でその適応が拡大した.重大な合併症もなかった.中間長スコープを用いての一人操作法にミニチューブを装着してもスコープ手元操作部は煩わされず,さらに汎用されることが,望まれる.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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