日本消化器内視鏡学会雑誌
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バルンカテーテルによる拡張術を試みた先天性食道webの1症例
濱田 薫東口 隆一宮高 和彦田村 猛夏吉川 雅子大貫 雅弘錦織 ルミ子
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1986 年 28 巻 8 号 p. 1864-1868

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抄録

 症例は71歳女性.幼少時からとくに固形物の嚥下障害があるも放置,心窩部圧迫感が加わり某医受診し,内視鏡目的で当科紹介受診.内視鏡にて食道入口部直下に食道webを認め,透視にても胃角部の潰瘍と同時に食道webを認めた.貧血を認めず,理学的にも検査上も異常を認めないため病歴より先天性食道webと診断した.バルンカテーテルで内視鏡下に拡張術を施行するも一時的な効果しか得られず,日を経過すると再び狭窄を認めたため内視鏡下に高周波電気メスで小切開を行い,さらにバルンカテーテルによる拡張を併用したところ,自覚的にも固形物の嚥下が容易となり,他覚的には内視鏡,X線所見とも改善し,治療に成功した.一般に貧血なく機械的狭窄をともなう食道webはブジーによる拡張術が行なわれるが,可動性に富み,苦痛の少ないバルンカテーテルは有用と考え,若干の文献的考察を加え報告した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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